翻訳: スーラ マルヤム (マリヤム章) سُورَة مريم
بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَٰنِ الرَّحِيمِ
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
كهيعص ١
カーフ・ハー・ヤー・アイン・サード。 (一)
ذِكْرُ رَحْمَتِ رَبِّكَ عَبْدَهُ زَكَرِيَّا ٢
（これは）あなたの主が，しもベのザカリーヤーに御慈悲を与えたことの記述である。 (二)
إِذْ نَادَىٰ رَبَّهُ نِدَاءً خَفِيًّا ٣
かれが密かに請願して，主に祈った時を思え。 (三)
قَالَ رَبِّ إِنِّي وَهَنَ الْعَظْمُ مِنِّي وَاشْتَعَلَ الرَّأْسُ شَيْبًا وَلَمْ أَكُنْ بِدُعَائِكَ رَبِّ شَقِيًّا ٤
かれは言った。「主よ，わたしの骨は本当に弱まり，また頭の髪は灰色に輝きます。だが主よ，わたしはあなたに御祈りして，御恵・を与えられないことはありません。 (四)
وَإِنِّي خِفْتُ الْمَوَالِيَ مِنْ وَرَائِي وَكَانَتِ امْرَأَتِي عَاقِرًا فَهَبْ لِي مِنْ لَدُنْكَ وَلِيًّا ٥
只々わたしの後の，近親（と同胞のこと）を恐れます。わたしの妻は不妊です。それであなたの御許から，相続者をわたしに御授け下さい。 (五)
يَرِثُنِي وَيَرِثُ مِنْ آلِ يَعْقُوبَ ۖ وَاجْعَلْهُ رَبِّ رَضِيًّا ٦
わたしを継がせ，またヤアコーブの家を継がせて下さい。主よ，かれを御意に適う者にして下さい。」 (六)
يَا زَكَرِيَّا إِنَّا نُبَشِّرُكَ بِغُلَامٍ اسْمُهُ يَحْيَىٰ لَمْ نَجْعَلْ لَهُ مِنْ قَبْلُ سَمِيًّا ٧
（主は仰せられた。）「ザカリーヤーよ，本当にわれはあなたに，ヤヒヤーという名の息子の昔報を伝える。われは未だ且つて誰にもその名は授けなかった。」 (七)
قَالَ رَبِّ أَنَّىٰ يَكُونُ لِي غُلَامٌ وَكَانَتِ امْرَأَتِي عَاقِرًا وَقَدْ بَلَغْتُ مِنَ الْكِبَرِ عِتِيًّا ٨
かれは申しあげた。「主よ，わたしにどうして息子がありましょう。わたしの妻は不妊です。その上わたしは極めて高齢になりました。」 (八)
قَالَ كَذَٰلِكَ قَالَ رَبُّكَ هُوَ عَلَيَّ هَيِّنٌ وَقَدْ خَلَقْتُكَ مِنْ قَبْلُ وَلَمْ تَكُ شَيْئًا ٩
かれは言った。「そうであろう。（だが）あなたの主は仰せられる。『それはわれにとっては容易なことである。あなたが何もない時に，われが以前あなたを創ったように。』」 (九)
قَالَ رَبِّ اجْعَلْ لِي آيَةً ۚ قَالَ آيَتُكَ أَلَّا تُكَلِّمَ النَّاسَ ثَلَاثَ لَيَالٍ سَوِيًّا ١٠
かれは申し上げた。「主よ印を御示し下さい。」かれは言った。「あなたの体は，健全でありながら，印として3夜の間人に話せなくなるであろう。」 (十)
فَخَرَجَ عَلَىٰ قَوْمِهِ مِنَ الْمِحْرَابِ فَأَوْحَىٰ إِلَيْهِمْ أَنْ سَبِّحُوا بُكْرَةً وَعَشِيًّا ١١
そこでかれは聖所を出て人びとの所に来て，「朝な夕な（主を）讃えなさい。」と手まねで伝えた。 (十一)
يَا يَحْيَىٰ خُذِ الْكِتَابَ بِقُوَّةٍ ۖ وَآتَيْنَاهُ الْحُكْمَ صَبِيًّا ١٢
（そしてかれの息子に。）「ヤヒヤーよ，啓典をしっかりと守れ。」（と命令が下った）。そしてわれは，幼少（の時）かれに英知を授け， (十二)
وَحَنَانًا مِنْ لَدُنَّا وَزَكَاةً ۖ وَكَانَ تَقِيًّا ١٣
またわが許から慈愛と清純な心を授けた。かれは主を畏れ， (十三)
وَبَرًّا بِوَالِدَيْهِ وَلَمْ يَكُنْ جَبَّارًا عَصِيًّا ١٤
父母に孝行で高慢でなく，背くこともなかった。 (十四)
وَسَلَامٌ عَلَيْهِ يَوْمَ وُلِدَ وَيَوْمَ يَمُوتُ وَيَوْمَ يُبْعَثُ حَيًّا ١٥
かれの生誕の日，死去の日，復活の日に，かれの上に平安あれ。 (十五)
وَاذْكُرْ فِي الْكِتَابِ مَرْيَمَ إِذِ انْتَبَذَتْ مِنْ أَهْلِهَا مَكَانًا شَرْقِيًّا ١٦
またこの啓典の中で，マルヤム（の物語）を述べよ。かの女が家族から離れて東の場に引き籠った時， (十六)
فَاتَّخَذَتْ مِنْ دُونِهِمْ حِجَابًا فَأَرْسَلْنَا إِلَيْهَا رُوحَنَا فَتَمَثَّلَ لَهَا بَشَرًا سَوِيًّا ١٧
かの女はかれらから（身をさえぎる）幕を垂れた。その時われはわが聖霊（ジブリール）を遣わした。かれは1人の立派な人間の姿でかの女の前に現われた。 (十七)
قَالَتْ إِنِّي أَعُوذُ بِالرَّحْمَٰنِ مِنْكَ إِنْ كُنْتَ تَقِيًّا ١٨
かの女は言った。「あなた（ジブリール）に対して慈悲深き御方の御加護を祈ります。もしあなたが，主を畏れておられるならば（わたしに近寄らないで下さい）。」 (十八)
قَالَ إِنَّمَا أَنَا رَسُولُ رَبِّكِ لِأَهَبَ لَكِ غُلَامًا زَكِيًّا ١٩
かれは言った。「わたしは，あなたの主から遣わされた使徒に過ぎない。清純な息子をあなたに授ける（知らせの）ために。」 (十九)
قَالَتْ أَنَّىٰ يَكُونُ لِي غُلَامٌ وَلَمْ يَمْسَسْنِي بَشَرٌ وَلَمْ أَكُ بَغِيًّا ٢٠
かの女は言った。「未だ且つて，誰もわたしに触れません。またわたしは不貞でもありません。どうしてわたしに息子がありましょう。」 (二十)
قَالَ كَذَٰلِكِ قَالَ رَبُّكِ هُوَ عَلَيَّ هَيِّنٌ ۖ وَلِنَجْعَلَهُ آيَةً لِلنَّاسِ وَرَحْمَةً مِنَّا ۚ وَكَانَ أَمْرًا مَقْضِيًّا ٢١
かれ（天使）は言った。「そうであろう。（だが）あなたの主は仰せられる。『それはわれにとっては容易なことである。それでかれ（息子）を入びとへの印となし，またわれからの慈悲とするためである。（これは既に）アッラーの御命令があったことである。』」 (二十一)
فَحَمَلَتْهُ فَانْتَبَذَتْ بِهِ مَكَانًا قَصِيًّا ٢٢
こうして，かの女はかれ（息子）を妊娠したので，遠い所に引き籠った。 (二十二)
فَأَجَاءَهَا الْمَخَاضُ إِلَىٰ جِذْعِ النَّخْلَةِ قَالَتْ يَا لَيْتَنِي مِتُّ قَبْلَ هَٰذَا وَكُنْتُ نَسْيًا مَنْسِيًّا ٢٣
だが分娩の苦痛のために，ナツメヤシの幹に赴き，かの女は言った。「ああ，こんなことになる前に，わたしは亡きものになり，忘却の中に消えたかった。」 (二十三)
فَنَادَاهَا مِنْ تَحْتِهَا أَلَّا تَحْزَنِي قَدْ جَعَلَ رَبُّكِ تَحْتَكِ سَرِيًّا ٢٤
その時（声があって）かの女を下の方から呼んだ。「悲しんではならない。主はあなたの足もとに小川を創られた。 (二十四)
وَهُزِّي إِلَيْكِ بِجِذْعِ النَّخْلَةِ تُسَاقِطْ عَلَيْكِ رُطَبًا جَنِيًّا ٢٥
またナツメヤシの幹を，あなたの方に揺り動かせ。新鮮な熟したナツメヤシの実が落ちてこよう。 (二十五)
فَكُلِي وَاشْرَبِي وَقَرِّي عَيْنًا ۖ فَإِمَّا تَرَيِنَّ مِنَ الْبَشَرِ أَحَدًا فَقُولِي إِنِّي نَذَرْتُ لِلرَّحْمَٰنِ صَوْمًا فَلَنْ أُكَلِّمَ الْيَوْمَ إِنْسِيًّا ٢٦
食べ且つ飲んで，あなたの目を冷しなさい。そしてもし誰かを見たならば，『わたしは慈悲深き主に，斎戒の約束をしました。それで今日は，誰とも御話いたしません。』と言ってやろがいい。」 (二十六)
فَأَتَتْ بِهِ قَوْمَهَا تَحْمِلُهُ ۖ قَالُوا يَا مَرْيَمُ لَقَدْ جِئْتِ شَيْئًا فَرِيًّا ٢٧
それからかの女は，かれ（息子）を抱いて自分の人びとの許に帰って来た。かれらは言った。「マルヤムよ，あなたは，何と大変なことをしてくれたのか。 (二十七)
يَا أُخْتَ هَارُونَ مَا كَانَ أَبُوكِ امْرَأَ سَوْءٍ وَمَا كَانَتْ أُمُّكِ بَغِيًّا ٢٨
ハールーンの姉妹よ，あなたの父は悪い人ではなかった。母親も不貞の女ではなかったのだが。」 (二十八)
فَأَشَارَتْ إِلَيْهِ ۖ قَالُوا كَيْفَ نُكَلِّمُ مَنْ كَانَ فِي الْمَهْدِ صَبِيًّا ٢٩
そこでかの女は，かれ（息子）を指さした。かれらは言った。「どうしてわたしたちは，揺能の中の赤ん坊に話すことが出来ようか。」 (二十九)
قَالَ إِنِّي عَبْدُ اللَّهِ آتَانِيَ الْكِتَابَ وَجَعَلَنِي نَبِيًّا ٣٠
（その時）かれ（息子）は言った。「わたしは，本当にアッラーのしもベです。かれは啓典をわたしに与え，またわたしを預言者になされました。 (三十)
وَجَعَلَنِي مُبَارَكًا أَيْنَ مَا كُنْتُ وَأَوْصَانِي بِالصَّلَاةِ وَالزَّكَاةِ مَا دُمْتُ حَيًّا ٣١
またかれは，わたしが何処にいようとも祝福を与えます。また生命のある限り礼拝を捧げ，喜捨をするよう，わたしに御命じになりました。 (三十一)
وَبَرًّا بِوَالِدَتِي وَلَمْ يَجْعَلْنِي جَبَّارًا شَقِيًّا ٣٢
またわたしの母に孝養を尽くさせ，高慢な恵まれない者になされませんでした。 (三十二)
وَالسَّلَامُ عَلَيَّ يَوْمَ وُلِدْتُ وَيَوْمَ أَمُوتُ وَيَوْمَ أُبْعَثُ حَيًّا ٣٣
またわたしの出生の日，死去の日，復活の日に，わたしの上に平安がありますように。」 (三十三)
ذَٰلِكَ عِيسَى ابْنُ مَرْيَمَ ۚ قَوْلَ الْحَقِّ الَّذِي فِيهِ يَمْتَرُونَ ٣٤
そのこと（イーサーがマルヤムの子であること）に就いて，かれら（ユダヤ教徒，キリスト教徒）は疑っているが本当に真実そのものである。 (三十四)
مَا كَانَ لِلَّهِ أَنْ يَتَّخِذَ مِنْ وَلَدٍ ۖ سُبْحَانَهُ ۚ إِذَا قَضَىٰ أَمْرًا فَإِنَّمَا يَقُولُ لَهُ كُنْ فَيَكُونُ ٣٥
アッラーに子供が出来るなどということはありえない。かれに讃えあれ。かれが一事を決定され，唯「有れ。」と仰せになれば，即ち有るのである。 (三十五)
وَإِنَّ اللَّهَ رَبِّي وَرَبُّكُمْ فَاعْبُدُوهُ ۚ هَٰذَا صِرَاطٌ مُسْتَقِيمٌ ٣٦
本当にアッラーは，わたしの主であり，またあなたがたの主であられる。だからかれに仕えなさい。これこそ正しい道である。 (三十六)
فَاخْتَلَفَ الْأَحْزَابُ مِنْ بَيْنِهِمْ ۖ فَوَيْلٌ لِلَّذِينَ كَفَرُوا مِنْ مَشْهَدِ يَوْمٍ عَظِيمٍ ٣٧
それなのにかれらの間で，諸宗派が異なる。信じない者こそ災いである。偉大なる日の審判のためこ。 (三十七)
أَسْمِعْ بِهِمْ وَأَبْصِرْ يَوْمَ يَأْتُونَنَا ۖ لَٰكِنِ الظَّالِمُونَ الْيَوْمَ فِي ضَلَالٍ مُبِينٍ ٣٨
かれらがわが前に罷り出る日，何んとはっきりと聞こえまた見えるであろうか。だが不義者たちは，今日（現世で）は明らかに迷誤の中にいる。 (三十八)
وَأَنْذِرْهُمْ يَوْمَ الْحَسْرَةِ إِذْ قُضِيَ الْأَمْرُ وَهُمْ فِي غَفْلَةٍ وَهُمْ لَا يُؤْمِنُونَ ٣٩
あなたは悔恨の日（復活の日）に就いて，かれらに警告しなさい。その時，事は決定されるのである。かれらが油断し，また不信心である間に。 (三十九)
إِنَّا نَحْنُ نَرِثُ الْأَرْضَ وَمَنْ عَلَيْهَا وَإِلَيْنَا يُرْجَعُونَ ٤٠
われは，大地とその上にある凡てのものを相続する。またわれに，かれらは帰るのである。 (四十)
وَاذْكُرْ فِي الْكِتَابِ إِبْرَاهِيمَ ۚ إِنَّهُ كَانَ صِدِّيقًا نَبِيًّا ٤١
またこの啓典の中で，イブラーヒーム（の物語）を述べよ。本当にかれは正直者であり預言者であった。 (四十一)
إِذْ قَالَ لِأَبِيهِ يَا أَبَتِ لِمَ تَعْبُدُ مَا لَا يَسْمَعُ وَلَا يُبْصِرُ وَلَا يُغْنِي عَنْكَ شَيْئًا ٤٢
かれが父にこう言った時を思え。「父よ，あなたは何故聞きも，見もしないで，また僅かの益をも与えないもの（木石の偶像）を崇拝なさるのか。 (四十二)
يَا أَبَتِ إِنِّي قَدْ جَاءَنِي مِنَ الْعِلْمِ مَا لَمْ يَأْتِكَ فَاتَّبِعْنِي أَهْدِكَ صِرَاطًا سَوِيًّا ٤٣
父よ，あなたが授かっていない知識が，今，確かにわたしに下った。だからわたしに従いなさい。わたしはあなたを正しい道に導くでしょう。 (四十三)
يَا أَبَتِ لَا تَعْبُدِ الشَّيْطَانَ ۖ إِنَّ الشَّيْطَانَ كَانَ لِلرَّحْمَٰنِ عَصِيًّا ٤٤
父よ，悪魔に仕えてはなりません。本当に悪魔は慈悲深き御方に対する謀叛者です。 (四十四)
يَا أَبَتِ إِنِّي أَخَافُ أَنْ يَمَسَّكَ عَذَابٌ مِنَ الرَّحْمَٰنِ فَتَكُونَ لِلشَّيْطَانِ وَلِيًّا ٤٥
父よ，本当にわたしは慈悲深き御方からの懲罰が，あなたに下ることを恐れます。それであなたが，悪魔の友になることを心配しています。」 (四十五)
قَالَ أَرَاغِبٌ أَنْتَ عَنْ آلِهَتِي يَا إِبْرَاهِيمُ ۖ لَئِنْ لَمْ تَنْتَهِ لَأَرْجُمَنَّكَ ۖ وَاهْجُرْنِي مَلِيًّا ٤٦
かれ（父）は言った。「イブラーヒームよ，あなたはわたしたちの神々を拒否するのか。もしそれを止めないなら，必ずあなたを石打ちにするであろう。さあ永久にわたしから離れ去れ。」 (四十六)
قَالَ سَلَامٌ عَلَيْكَ ۖ سَأَسْتَغْفِرُ لَكَ رَبِّي ۖ إِنَّهُ كَانَ بِي حَفِيًّا ٤٧
かれは言った。「あなたに平安あれ。わたしの主に，あなたのため御赦しを祈る。本当にかれは，わたしに対し慈悲深くあられます。 (四十七)
وَأَعْتَزِلُكُمْ وَمَا تَدْعُونَ مِنْ دُونِ اللَّهِ وَأَدْعُو رَبِّي عَسَىٰ أَلَّا أَكُونَ بِدُعَاءِ رَبِّي شَقِيًّا ٤٨
わたしはあなたがたから離れ，またアッラー以外にあなたがたが祈るものから離れて，わたしの主に祈ります。わたしの主に御祈りすれば，恐らく（主の）御恵・のないめにあわないでしょう。」 (四十八)
فَلَمَّا اعْتَزَلَهُمْ وَمَا يَعْبُدُونَ مِنْ دُونِ اللَّهِ وَهَبْنَا لَهُ إِسْحَاقَ وَيَعْقُوبَ ۖ وَكُلًّا جَعَلْنَا نَبِيًّا ٤٩
それでかれ（イブラーヒーム）が，かれらとアッラー以外にかれらが仕えるものから離れ去った時，われはかれにイスハークとヤアコーブを授けた。そしてわれはかれらをそれぞれ預言者にした。 (四十九)
وَوَهَبْنَا لَهُمْ مِنْ رَحْمَتِنَا وَجَعَلْنَا لَهُمْ لِسَانَ صِدْقٍ عَلِيًّا ٥٠
われは，かれらの上に慈悲を垂れ，また崇高な其実を伝える舌を授けた。 (五十)
وَاذْكُرْ فِي الْكِتَابِ مُوسَىٰ ۚ إِنَّهُ كَانَ مُخْلَصًا وَكَانَ رَسُولًا نَبِيًّا ٥١
またこの啓典の中で，ムーサーのことを述べよ。本当にかれは，誠実であり，使徒であり預言者であった。 (五十一)
وَنَادَيْنَاهُ مِنْ جَانِبِ الطُّورِ الْأَيْمَنِ وَقَرَّبْنَاهُ نَجِيًّا ٥٢
われは（シナイ）山の右がわからかれに呼びかけ，密談のためわれの近くに招き寄せた。 (五十二)
وَوَهَبْنَا لَهُ مِنْ رَحْمَتِنَا أَخَاهُ هَارُونَ نَبِيًّا ٥٣
またわれの慈悲により，その兄のハールーンを，預言者としてかれに授けた。 (五十三)
وَاذْكُرْ فِي الْكِتَابِ إِسْمَاعِيلَ ۚ إِنَّهُ كَانَ صَادِقَ الْوَعْدِ وَكَانَ رَسُولًا نَبِيًّا ٥٤
またイスマーイールのことを，この啓典の中で述べよ。本当にかれは約束したことに忠実で，使徒であり預言者であった。 (五十四)
وَكَانَ يَأْمُرُ أَهْلَهُ بِالصَّلَاةِ وَالزَّكَاةِ وَكَانَ عِنْدَ رَبِّهِ مَرْضِيًّا ٥٥
かれはいつもその一族に，礼拝と喜捨を命令し，主の愛される一人であった。 (五十五)
وَاذْكُرْ فِي الْكِتَابِ إِدْرِيسَ ۚ إِنَّهُ كَانَ صِدِّيقًا نَبِيًّا ٥٦
またイドリースのことを，この啓典の中で述べよ。かれは正直な人物であり預言者であった。 (五十六)
وَرَفَعْنَاهُ مَكَانًا عَلِيًّا ٥٧
そしてわれはかれを高い地位に挙げた。 (五十七)
أُولَٰئِكَ الَّذِينَ أَنْعَمَ اللَّهُ عَلَيْهِمْ مِنَ النَّبِيِّينَ مِنْ ذُرِّيَّةِ آدَمَ وَمِمَّنْ حَمَلْنَا مَعَ نُوحٍ وَمِنْ ذُرِّيَّةِ إِبْرَاهِيمَ وَإِسْرَائِيلَ وَمِمَّنْ هَدَيْنَا وَاجْتَبَيْنَا ۚ إِذَا تُتْلَىٰ عَلَيْهِمْ آيَاتُ الرَّحْمَٰنِ خَرُّوا سُجَّدًا وَبُكِيًّا ۩ ٥٨
これらの者は，アッラーが恩恵を施された預言者たちで，アーダムの子孫で，われがヌーフと一緒に（方舟で）運んだ者たちの子孫であり，またイブラーヒームとイスラーイール（ヤアコーブ）の子孫の中，われが選んで導いた者たちである。慈悲深き御方の印がかれらに読誦される度に，かれらは伏してサジダし涙を流す。〔サジダ〕 (五十八)
فَخَلَفَ مِنْ بَعْدِهِمْ خَلْفٌ أَضَاعُوا الصَّلَاةَ وَاتَّبَعُوا الشَّهَوَاتِ ۖ فَسَوْفَ يَلْقَوْنَ غَيًّا ٥٩
それなのにかれらの後継者が礼拝を怠り，私欲に耽ったので，やがて破滅に当面することになるであろう。 (五十九)
إِلَّا مَنْ تَابَ وَآمَنَ وَعَمِلَ صَالِحًا فَأُولَٰئِكَ يَدْخُلُونَ الْجَنَّةَ وَلَا يُظْلَمُونَ شَيْئًا ٦٠
だが梅悟して信仰し，善行に動しむ者は別である。これらの者は楽園に入り，少しも不当な扱いを受けることはないであろう。 (六十)
جَنَّاتِ عَدْنٍ الَّتِي وَعَدَ الرَّحْمَٰنُ عِبَادَهُ بِالْغَيْبِ ۚ إِنَّهُ كَانَ وَعْدُهُ مَأْتِيًّا ٦١
アドン（エデン）の楽園，それは信じていても目には見えないものだが，慈悲深い御方がそのしもべたちに約束なされたものである。本当にかれの約束は，いつも完遂される。 (六十一)
لَا يَسْمَعُونَ فِيهَا لَغْوًا إِلَّا سَلَامًا ۖ وَلَهُمْ رِزْقُهُمْ فِيهَا بُكْرَةً وَعَشِيًّا ٦٢
かれらはそこでは無用の話を聞かず，只々「平安あれ。」（と言う語を聞く）だけであろう。かれらは朝な夕な，そこで御恵・を与えられる。 (六十二)
تِلْكَ الْجَنَّةُ الَّتِي نُورِثُ مِنْ عِبَادِنَا مَنْ كَانَ تَقِيًّا ٦٣
これが楽園である。主を畏れたわがしもベに継がせる所である。 (六十三)
وَمَا نَتَنَزَّلُ إِلَّا بِأَمْرِ رَبِّكَ ۖ لَهُ مَا بَيْنَ أَيْدِينَا وَمَا خَلْفَنَا وَمَا بَيْنَ ذَٰلِكَ ۚ وَمَا كَانَ رَبُّكَ نَسِيًّا ٦٤
（天使たちは言う。）「わたしたちは，主の御命令による外は下らない。わたしたち以前のこと，わたしたち以後のこと，またその間の凡てのことは，かれの統べられるところ。あなたがたの主は決して忘れられない。 (六十四)
رَبُّ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضِ وَمَا بَيْنَهُمَا فَاعْبُدْهُ وَاصْطَبِرْ لِعِبَادَتِهِ ۚ هَلْ تَعْلَمُ لَهُ سَمِيًّا ٦٥
（かれは）天と地，またその間にある凡ての有の主であられる。だからかれに仕え，かれへの奉仕のために耐え忍びなさい。あなたはかれと肩を並べ呼ぶものを（外に）知っているのか。」 (六十五)
وَيَقُولُ الْإِنْسَانُ أَإِذَا مَا مِتُّ لَسَوْفَ أُخْرَجُ حَيًّا ٦٦
人は言う。「一体わたしが死んだ時，やがて甦るのであろうか。」 (六十六)
أَوَلَا يَذْكُرُ الْإِنْسَانُ أَنَّا خَلَقْنَاهُ مِنْ قَبْلُ وَلَمْ يَكُ شَيْئًا ٦٧
人は思わないのか。われは以前何も無いところから，かれ（人間）を創ったのである。 (六十七)
فَوَرَبِّكَ لَنَحْشُرَنَّهُمْ وَالشَّيَاطِينَ ثُمَّ لَنُحْضِرَنَّهُمْ حَوْلَ جَهَنَّمَ جِثِيًّا ٦٨
それであなたの主によって，われはかれらそして悪魔たちを必ず召集する。それからわれは，必ずかれらを地獄の周囲に引きたて（かれらを恐れ戦かせ）脆かせよう。 (六十八)
ثُمَّ لَنَنْزِعَنَّ مِنْ كُلِّ شِيعَةٍ أَيُّهُمْ أَشَدُّ عَلَى الرَّحْمَٰنِ عِتِيًّا ٦٩
それからわれは，各宗派から慈悲深き御方に背くことの甚しい者を，必ず（側に）抜き出す。 (六十九)
ثُمَّ لَنَحْنُ أَعْلَمُ بِالَّذِينَ هُمْ أَوْلَىٰ بِهَا صِلِيًّا ٧٠
その時誰がそこで焼かれるに相応しいかを熟知するのは，正にわれである。 (七十)
وَإِنْ مِنْكُمْ إِلَّا وَارِدُهَا ۚ كَانَ عَلَىٰ رَبِّكَ حَتْمًا مَقْضِيًّا ٧١
そしてあなたがたの中一人もそれを通り越せない。これはあなたがたの主が，成し遂げられる御神命である。 (七十一)
ثُمَّ نُنَجِّي الَّذِينَ اتَّقَوْا وَنَذَرُ الظَّالِمِينَ فِيهَا جِثِيًّا ٧٢
しかしわれは主を畏れる敬虔な者を救い，不義を行った者は跪いたままで放って置こう。 (七十二)
وَإِذَا تُتْلَىٰ عَلَيْهِمْ آيَاتُنَا بَيِّنَاتٍ قَالَ الَّذِينَ كَفَرُوا لِلَّذِينَ آمَنُوا أَيُّ الْفَرِيقَيْنِ خَيْرٌ مَقَامًا وَأَحْسَنُ نَدِيًّا ٧٣
わが公明な印がかれらに読誦される時，信じない者たちは信仰する者に向かって，「どちらが地位において高く，またどちらが気前がいいか」などという。 (七十三)
وَكَمْ أَهْلَكْنَا قَبْلَهُمْ مِنْ قَرْنٍ هُمْ أَحْسَنُ أَثَاثًا وَرِئْيًا ٧٤
だがわれは如何に物資の豊富な，また見せかけの輝かしい多くの世代を，かれら以前に滅ぼしたことであろうか。 (七十四)
قُلْ مَنْ كَانَ فِي الضَّلَالَةِ فَلْيَمْدُدْ لَهُ الرَّحْمَٰنُ مَدًّا ۚ حَتَّىٰ إِذَا رَأَوْا مَا يُوعَدُونَ إِمَّا الْعَذَابَ وَإِمَّا السَّاعَةَ فَسَيَعْلَمُونَ مَنْ هُوَ شَرٌّ مَكَانًا وَأَضْعَفُ جُنْدًا ٧٥
言ってやるがいい。「迷っている者でも慈悲深い御方はかれらに対し命を延ばされる。だがそれもかれらが警告されたことを見る時，つまり罰せられるか，それとも（審判の）時になるまでである。やがてかれらは，どちらがより酷い立場であり，どちらが弱い勢力であるかを知るであろう。」 (七十五)
وَيَزِيدُ اللَّهُ الَّذِينَ اهْتَدَوْا هُدًى ۗ وَالْبَاقِيَاتُ الصَّالِحَاتُ خَيْرٌ عِنْدَ رَبِّكَ ثَوَابًا وَخَيْرٌ مَرَدًّا ٧٦
アッラーは導きを求める者に対し，御導きを増やされる。そして朽ちすたれない善行は，主の御許では報奨において優れ，また帰り所において優る。 (七十六)
أَفَرَأَيْتَ الَّذِي كَفَرَ بِآيَاتِنَا وَقَالَ لَأُوتَيَنَّ مَالًا وَوَلَدًا ٧٧
あなたはわが印を拒否した者を見たか。だがかれは，「わたしは富と子孫とに，きっと恵まれるであろう。」と言う。 (七十七)
أَطَّلَعَ الْغَيْبَ أَمِ اتَّخَذَ عِنْدَ الرَّحْمَٰنِ عَهْدًا ٧٨
かれは幽玄界を見とどけたのか。それとも慈悲深い御方の何らかの約束を得たのか。 (七十八)
كَلَّا ۚ سَنَكْتُبُ مَا يَقُولُ وَنَمُدُّ لَهُ مِنَ الْعَذَابِ مَدًّا ٧٩
いや決してそうではない。われはかれの言うことを記録し，かれに対する懲罰を延ばすであろう。 (七十九)
وَنَرِثُهُ مَا يَقُولُ وَيَأْتِينَا فَرْدًا ٨٠
かれらの言っていることは凡てわれが引き取り，かれは只一人でわが許に来るであろう。 (八十)
وَاتَّخَذُوا مِنْ دُونِ اللَّهِ آلِهَةً لِيَكُونُوا لَهُمْ عِزًّا ٨١
かれらはアッラーの外に神々を立て，かれらを仲裁者にしようとしている。 (八十一)
كَلَّا ۚ سَيَكْفُرُونَ بِعِبَادَتِهِمْ وَيَكُونُونَ عَلَيْهِمْ ضِدًّا ٨٢
決してそうではない。かれら（神々）はその崇拝を拒否し，かれらに対し敵になろう。 (八十二)
أَلَمْ تَرَ أَنَّا أَرْسَلْنَا الشَّيَاطِينَ عَلَى الْكَافِرِينَ تَؤُزُّهُمْ أَزًّا ٨٣
かれらを唆すために，われが不信心者に対し悪魔たちを遺わしているのをあなたは気が付かないのか。 (八十三)
فَلَا تَعْجَلْ عَلَيْهِمْ ۖ إِنَّمَا نَعُدُّ لَهُمْ عَدًّا ٨٤
だからかれらに対し性急であってはならない。われは只々かれらのために（限られた猶予の日）数を数えるだけである。 (八十四)
يَوْمَ نَحْشُرُ الْمُتَّقِينَ إِلَى الرَّحْمَٰنِ وَفْدًا ٨٥
その日，われは主を畏れる者を（名誉の）使節を迎えるように慈悲深き御方（の御許）に集め， (八十五)
وَنَسُوقُ الْمُجْرِمِينَ إِلَىٰ جَهَنَّمَ وِرْدًا ٨٦
われは罪深い者を，獣の群を水に追うように，地獄に追いたてる。 (八十六)
لَا يَمْلِكُونَ الشَّفَاعَةَ إِلَّا مَنِ اتَّخَذَ عِنْدَ الرَّحْمَٰنِ عَهْدًا ٨٧
慈悲深き御方から御許しを得た者の外は，誰も執り成す力を持たないであろう。 (八十七)
وَقَالُوا اتَّخَذَ الرَّحْمَٰنُ وَلَدًا ٨٨
またかれらは言う。「慈悲深き御方は子を蝕けられる。」 (八十八)
لَقَدْ جِئْتُمْ شَيْئًا إِدًّا ٨٩
確かにあなたがたは，酷いことを言うものである。 (八十九)
تَكَادُ السَّمَاوَاتُ يَتَفَطَّرْنَ مِنْهُ وَتَنْشَقُّ الْأَرْضُ وَتَخِرُّ الْجِبَالُ هَدًّا ٩٠
天は裂けようとし，地は割れて切々になり，山々は崩れ落ちよう。 (九十)
أَنْ دَعَوْا لِلرَّحْمَٰنِ وَلَدًا ٩١
それはかれらが，慈悲深き御方に対し，（ありもしない）子の名を（執り成すものとして）唱えたためである。 (九十一)
وَمَا يَنْبَغِي لِلرَّحْمَٰنِ أَنْ يَتَّخِذَ وَلَدًا ٩٢
子を蝕けられることは，慈悲深き御方にはありえない。 (九十二)
إِنْ كُلُّ مَنْ فِي السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضِ إِلَّا آتِي الرَّحْمَٰنِ عَبْدًا ٩٣
天と地において，慈悲深き御方のしもべとして，罷り出ない者は唯の1人もないのである。 (九十三)
لَقَدْ أَحْصَاهُمْ وَعَدَّهُمْ عَدًّا ٩٤
本当にかれは，かれらの（すべて）を計算し，かれらの数を数えられる。 (九十四)
وَكُلُّهُمْ آتِيهِ يَوْمَ الْقِيَامَةِ فَرْدًا ٩٥
また審判の日には，かれらは各々一人でかれの御許に罷り出る。 (九十五)
إِنَّ الَّذِينَ آمَنُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ سَيَجْعَلُ لَهُمُ الرَّحْمَٰنُ وُدًّا ٩٦
信仰して善行に励む者には，慈悲深い御方は，かれらに慈し・を与えるであろう。 (九十六)
فَإِنَّمَا يَسَّرْنَاهُ بِلِسَانِكَ لِتُبَشِّرَ بِهِ الْمُتَّقِينَ وَتُنْذِرَ بِهِ قَوْمًا لُدًّا ٩٧
われが（クルアーン）をあなたの言葉（アラビア語）で下し分りやすくしたのは，あなたが，主を畏れる者に吉報を伝え，議論好きの者に警告するためである。 (九十七)
وَكَمْ أَهْلَكْنَا قَبْلَهُمْ مِنْ قَرْنٍ هَلْ تُحِسُّ مِنْهُمْ مِنْ أَحَدٍ أَوْ تَسْمَعُ لَهُمْ رِكْزًا ٩٨
われは，かれら以前に如何に多くの世代を滅ぼしたことであろう。あなたは（今），それらの中の一人でも見かけられるのか。またはかれらの囁きを聞くことが出来るのか。 (九十八)